« ウルトラマンMAX #24話「狙われない街」 | トップページ | 仮面ライダー響鬼 #43「変われぬ身」 »

蟲師 #8 「海境より」 ~男のメロドラマ

浜には何かと物珍しいものが流れ着く。
南方の木の実や・・・・・・・・

・・・まれに・・ヒト。
もしくはヒトを乗せぬ空船・・・。

うっひー
まった、冒頭からめっちゃ恐いナレーションで始まる今回。\( ><)シ
舟幽霊か、常世の国への葬送の舟か、と思ってしまいました。

今回、少しネタばれぎみに(かなり)長く書き込んでしまったので、以下を読む場合はご注意ください。
↓↓↓↓↓

問屋勤めを解雇されて海沿いの故郷へ帰る途中の男”シロウ”。
連れ添う妻”みちひ”は、問屋の主人の次女。(←お嬢様育ちなので少し気が強そう)
今までの暮らしと比べて、あまりに田舎な土地に”みちひ”は帰ろうと言いますが、”シロウ”が解雇された理由をきっかけに、ちょっとした諍いから若い二人は心がすれ違ってしまいます。
”シロウ”は問屋でも才覚があったらしく、そんな”シロウ”に再起してもらいたいという想いから”みちひ”はつい言葉を誤り、”シロウ”も自分の不甲斐なさから自嘲気味になっていたために言葉を誤ってしまいます。

世間では、よくある事・・・。
よくある事だけど、そんな状況の時に蟲が起こす現象に遭遇したことが、二人を永遠に別つことになってしまいます。
”シロウ”が言った言葉は本心からではなく、”みちひ”も少し拗ねてみただけだったのでしょうが、”シロウ”の言葉に失望を覚えてしまったままだった”みちひ”は、蟲の起こす現象の靄の中、自分の行く道が見えずに舟に乗ったまま蟲と共に沖合いに消えていってしまいます。
そして、とある漁師村に流れ着いた”シロウ”は永久に懺悔しつづけるかのように、村人に奇異な目で見られながらも、自分と同じように”みちひ”(の遺品)が流れ着くのを待ち続けます。
既に”みちひ”が死んでいることはわかっていながらも、その「証」が確認できるまでは、後悔を抱えたまま自分の心が先に進めないかのようです。

でも、人は一人では生きられないもの。
それまで村人との交わりもほとんどなかったと思いますし、気まぐれだったのかもしれないけど、ふとしたきっかけで村娘の”ナミ”の商売を助けたことから、村人からも”ナミ”からも頼りにされ、慕われ、自分の居場所となっていきます。
村人や”ナミ”への話し方や態度から見て取れる”シロウ”は、本当は心優しい人なのでしょう。優しいが故に誤解も解けずまま問屋を解雇され、”みちひ”への想いも完全に決別できないまま・・・。

が、そんな時に、再び蟲の起こす現象が発生し、もしかしてという思いの下に、”シロウ”は靄の中にギンコと共に舟で乗り出していきます。
そして、靄の中から舟鳴りの音とともに現れる”みちひ”が行方不明になった舟。
舟の中には”みちひ”の遺体とおぼしき着物。
覚悟はしていたものの、意を決して着物をめくり確かめようとする”シロウ”。
その着物の下には・・・。

[ ここらへん凄く残酷なほどの緊張感です ]

そして、海の向こうに陸を見まごう”シロウ”。
蟲が生み出す靄の中から陸が見える者は生きたいと願う者、帰るべき処がある者。
では、帰るべき陸を見出せない人は?海の向こうに帰るべき処を見てしまう人は?
現世の陸から離れて、蟲の時とともに生きる処。常世の国。ニライカナイ。此の地を疎み、彼の地を願う人でしょうか。
これまで靄とともに消えた人と舟は空の舟だけが戻ってくるのですが、それは生物としてのヒトが生命の源流に近い蟲とともに永くあるがために融合されてしまうからでしょう。
蟲の時とともに在った”みちひ”は既にヒトならざるものだったのですが、”シロウ”に逢いたいという想いだけが舟とともに帰ってきたのでしょうか。

”シロウ”と”みちひ”にしか蟲が見えなかったのは、心の中に絶望とか失望を抱えていたためでしょう(貧しい漁師村の人々に、逆に蟲が見えないことと対象的です)が、今回の蟲は水精の一種の蛟のようなものでしょうか。
群体が一体の成体となるとき昇龍のように天に昇っていきますが、その波に巻き込まれて、”シロウ”とギンコは浜に打ち上げられてしまいます。
そして、遅れて浜に打ち上げられる”みちひ”が乗っていた舟と遺品。
浜に寄せる波に洗われる「かんざし」や着物に長持。
今度こそ本当に”みちひ”との決別を突きつけられる”シロウ”。

誰のものとも知らない綺麗な着物を手に取り喜んでいる”ナミ”の声に答えて浜に下る”シロウ”ですが、カメラは”シロウ”の後姿をロングで捉えたままEDロールに入ります。
(この突き放すかのようなロングのカメラワークが、またたまりません)
”シロウ”の表情は定かではないのですが、”みちひ”の事を自分に言い聞かせながらも、目は涙でかすんだまま、”ナミ”に”みちひ”の姿を重ねて見てしまっているのではないかと勝手に思ってしまいます。
また、最後まで見た後では、お話の冒頭に挿入されているEDに続くであろう浜で「かんざし」を拾い上げるシーンでも、更にいろいろ考えてしまいます。

(たぶん皆が帰った後)流れ着いていた”みちひ”の「かんざし」を拾い上げて、頼りなさげに歩き出す”シロウ”。
その「かんざし」が置去りにされていたのは、見逃されていたのか、取るに足りない物だったからなのかはわかりませんが、ひょっとしたら、使用人である”シロウ”が給金の中から、勤め先のお嬢さんである”みちひ”に(無理して)贈った物だったのかもしれません。
だから、それほど高値の物ではないだろうし、細工など他の人には大した物ではないのでしょうが、”みちひ”と”シロウ”にはとても大事な物。
「かんざし」を拾った後の”シロウ”が、ふらふらしながらも、海の方に向かうカットでなかっただけ救いですし、蟲に融合してしまった”みちひ”も昇龍とともに生命が天に還ったと思えば、まだ救いがあるかもしれません。
死んだ人を忘れずに悼む気持ちは大事ですが、死んだ人に囚われることは死んだ人も望んでいないでしょうし・・・。
自分を必要とし、好いてくれる”ナミ”が傍にいてくれるので、哀しみを抱えながらも穏やかに生きていってくれたと思いたいものです。

今回は蟲の生きる時間の違いをキーとした時間軸の差異による現象(SFだったらウラシマ効果?)を叙情的に織り込んだお話でした。
まぁ、全てが論理的に説明されているわけではないのですが、昔話だったら、神隠しにあった人が戻ってきたら時の流れが違っていたというとこですね。
今回の設定の場合、神隠しにあったら、戻ってこずにそのまま神として(ともに)天に還ってしまうのですが。
再出現した蟲の靄の中で”みちひ”の舟を見つけた後の展開にはラストまで、もう涙ぼろぼろでした。(・_・、)

|

« ウルトラマンMAX #24話「狙われない街」 | トップページ | 仮面ライダー響鬼 #43「変われぬ身」 »

「アニメ・コミック」カテゴリの記事

「アニメ:蟲師」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/143887/7568339

この記事へのトラックバック一覧です: 蟲師 #8 「海境より」 ~男のメロドラマ:

» 蟲師 第八話 「海境より」 [猫煎餅の偏頭痛ブログ]
今日はどうも目が冴えてしまっていて、全然眠気を感じないもんで、初めて、リアルタイムで見てしまいました。話の元は、浦島現象でしょうね。人と蟲との時間軸の違いがテーマ。しっかし救いの無い回でした。まあ前妻が、生還してもそれはそれで、救いの無い展開になってしまいますでしょうが。ギンコは”スーパーマン”じゃない、作中におけるリアリズムに基づいているから、こういう展開になるんでしょう。なんでも薬で、チャチャっと治せるんだったら、話に深みが生まれませんからね。 しかしギンコサイドから見れば、これでも話が成... [続きを読む]

受信: 2005年12月12日 (月) 00時15分

» 蟲師「第八話 海境より」 [ツッコミを極めると魔法が使えるようになるって(仮題)]
(C)漆原友紀/講談社・『蟲師』制作委員会 今回の御咄、わたし的ムッシッシベス [続きを読む]

受信: 2005年12月12日 (月) 23時06分

« ウルトラマンMAX #24話「狙われない街」 | トップページ | 仮面ライダー響鬼 #43「変われぬ身」 »