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無力を知る~蟲師 #11「やまねむる」

うぅっ。(ノ_<。)
やっぱ、哀しく、いい話です。「やまねむる

原作では読んでしまってたので、最初は追体験で見てる感じで、そんなでもなかったのですが、ムジカの庵での語りあたりからは、やっぱり画面に入り込んでいました。

里の者に頼まれて山の中に自分を探しに来たギンコに、実は山のヌシであることを覚られたムジカ(里の者にはヌシであることを隠して蟲師として生活しています)は、ヌシとなった経緯を語りますが、その内容には、あえてぼやかしていることがあります。
その真実は、後に知ることになるのですが・・・。

ムジカが語る傍らには、ムジカを探すためにギンコについてきた、ムジカの弟子のコダマが寝入っており、ムジカは語るともなく、ギンコにコダマの身の上を話し始めます。
この里の者は多産だが、皆を育てられようもあるはずもなく、そのような子供は産まれてすぐ山に捨てられるのだと。
コダマも、そのような子供の一人ではあったが、幸いムジカに拾われ、一年前に再び里の親に引き取られたことなど・・・。

口減らし(嫌な言葉ですが間引きとも)・・・は、悲しい事実ですが、近世までは貧しい村では現実に行われていたことです。

そして、蟲を呼ぶ体質ゆえに流しで蟲師をやっているギンコの身の上を、ムジカは
「(ヌシゆえ)この山から一歩も出られん身からすれば、ちょいと羨ましくもある」と言います。

mujika 更に、
善かれ悪しかれ、俺が骨をうずめるのは、この山以外にありえんからの・・・」とも。
既に、このときムジカは覚悟を決めていたのでした。
覚悟を決めた男の顔には、深いものがあります。

mujika1 kodama 次の日、ムジカの無事がわかったためギンコとともに一旦里に帰るコダマを、優しく見送るムジカの顔にも・・・。

そして、一度は里に戻ったものの、ムジカが自分の身を呈して、ヌシの交代を計っていることを覚ったギンコは山に戻り、何とかしてムジカを助けようとしますが、時すでに遅く、ヒトの力ではどうすることもできず、目の前でヌシの交代は行われ、巻き込まれたギンコは気を失ってしまいます。

saku 巻き込まれたための記憶の共有か、ギンコの夢の中でみるムジカの記憶・・・そこには、ムジカが犯した罪、そして自分を愛したために犯した朔の罪が。
その結果、本来はヒトがなるべきでないヌシに、ムジカ自身がなってしまうのですが、ヒトである身では、全てのことにまでヌシとしての力を及ぼすことができなかったのでしょう。

たぶん、その一つが、山の精気を受けた水を飲む里の者たちの多産。
ヒトであるがための限界で、山から溢れ出る精気すべてを司れなかったのではないかと思うのです。
愛されるために産まれ来る子供たちであったはずなのに、それを里の者に口減らしさせてしまうことになったのも、また、己の罪。

ムジカ自身もギンコと同じように蟲を呼ぶ体質だったために、一つ処に居られない運命だったものの、朔とともに在りたいと思ったがために、それを御する(自分では禁忌としていた)術を口の端に乗せてしまい、ムジカとともに在りたいと願っていた朔に、それを聞きとめられてしまいます。

人間ゆえの哀しくも愚かしい情愛ゆえの罪。

そして、ヌシとなったがために山とともに在らねばならなくなった身。
山の庵でのギンコへの言葉は、自嘲でもあり、償いへの懺悔でもあったのではないかと思ってしまうのです。
そのための、ヒトではない、大きなモノへのヌシの交代・・・。

そして、ギンコが目覚めたときには、ヌシの交代の結果、すべての事は何事もなかったことになり、里の者はムジカの存在そのものも忘れてしまっています。
ただ二人、ヌシの交代のときに山にいたギンコとコダマにだけ、そんな蟲師が、ヌシがいたという記憶だけを残して。
ムジカ自身にはその覚悟はできていたのが、山の庵でコダマを見送ったときに、既に次代の者に自身の技、自身の想いを伝えていたという笑みだったのだと思います。
それでも、予期していなかったことではあっても、コダマだけはムジカのことを忘れえぬこととなった。これが、せめてもの救いです。

ginko すべtのことが終わり、コダマに黙って里を後にするギンコは、ムジカを救いえなかった無力感を、一人、呟きます。
ムジカが羨ましいと言った自分が、ある面では、一つ処に居られるムジカを羨ましいと思い、何としても助けたかったという想いを抱えて。
しかし、その術はヒトにはなかったのですが・・・。

やはり、この件があったからこそ、「重い実」では、蟲師としての禁忌に触れてまでも、犯した罪を自らの命で購った祭主に、再び命を還す手助けをしたのではと感じるのです。
もちろん、人間くさいギンコの考えそのものあると思いますけどね。
今回も、ムジカを助けに行こうとするとき、コダマに本当のことを知らせまいとするところもありましたし。
そんなところが、ギンコの魅力でありますね。

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