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生命の温もり~蟲師 #15「春と嘯く」

long1 これぞ日本情緒という雰囲気の物語。
宵闇にしんしんと静かに降る雪。
雪山に差す光。吹き通る風。しんと冷え切った空気。
そして、温かみを感じる、ほの明るい家の灯り
long2 冬の雪山の情景といえども、ただのモノトーンではなく、淡く豊かな色彩に彩られています。この微妙な濃淡の美しさに感じ入れる日本に生まれてよかったと心底思わせてくれるような画作りです。

usobuki1 まして、その雪山の中に忽然と現れる春の情景は、まるで桃源郷を見る思いがします。
その目の眩む情景こそが春まがいの罠でしょうけど。(笑)

穏やかな雪山やBGMをバックに淡々と描かれる物語は、心に圧し掛かるような重苦しさはなく、冬の囲炉裏端で爺婆の夜語り、昔語りを聞いている感じがします。

まぁ、蟲の影響でそのまま寝たきりの昏睡状態になったり、生命活動が停止してしまってれば大事になる悲しい話になるところだったのですが、空吹(うそぶき)の花の芳香でひょっこり目を覚ます仕掛けがしてあるところが、思わずふっと、にやっとさせます。
ぐーすか寝こけるなんて、三年寝太郎かいっ?!(^^;

usobuki6 しかし、春の芳香に誘われて目を覚ましたり、その際に、春の鼓動が聞こえてくるような表現は、啓蟄という言葉をそのまま見ているようですね。

西洋の春が冬と夏の間の明確な区切りの季節であるのに比べて、日本の春が冬から季節が移りゆく曖昧な頃合いからを指すところを思えば、またそれも風情があります。

ところで、冬山で春まがいに惑わされて眠りにつく者の体温が急激に下がるというのは、仮死状態に近いところまで脳内活動、生命活動が低下させられているということですかね。
でも、お互いが互いの領分に踏み込まず、かすかに交差するところで共生するところが上手な関わり方なんでしょうね。
それは、人と蟲の間だけでなく、普通の人と蟲師の間にも言えるようです。

suzu 最初は「ギンコ・・さん」と、よそよそしかったのが、いつしか心の頼りとするように「ギンコ」と呼ぶようになった”すず”。
そんな”すず”の想いを知りながらも、一つ処に情を残さないように飄々たる旅を続けるギンコ。
ginko

今回のラストで、姉の”すず”のことを思い、ギンコに「また来るよな?」というミハルに、「冬じゃねえ時にな」と答えるギンコ。

その理由の「人間も冬は弱っていかんからな」
というセリフは、TVの初見では、なんとなく流して聞いてしまっているだけでしたが、原作で改めて文字で読むと合点がいきました。

light 家の灯り。里の灯り。生活の灯り。
それは生命の温もりが灯るところ。人々が暖かく身を寄り添って生きているところ。
漂泊たる身のギンコでも、ふと心まどろぎ長居しそうになるのですから、普通の人には増して、とても大事に思えるところですね。
日々の暮らしの安らぎとなる、そんな家、家族を大事にしてくださいね。

今回は本当に重く語るものはありません。
まるで、柳田國男が東北地方の民間伝承を聞いてきたような、深い雪里で春の宵を待ちわびる人たちが伝え語ってきた昔話のようで、心にしんみりと沁みるいい話でした。(^^
←蟲師のエピソードで、にこりんマークが出るのは珍しいですよ。本当に。

・・・と、時間がなくて他の番組の原稿も溜まってるので、あっさり書こうと思ってたけど、また長くなってしまいました。反省。

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