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半分の月がのぼる空 #6「僕たちの両手は」と太刀掛秀子「雨の降る日はそばにいて」

「多分、お前にとっちゃ、最悪の結末だ。」

前回のラスト、里香の手術の結果を裕一に伝えた夏目の言葉の意味で最終回Aパート引っ張るだけ引っ張りましたが、結末まで、ほぼ前回自分が感じたとおりの内容を語る物語であったので、ある面共感はできたものの若干感動的なインパクトには欠けたかもしれません。

里香の手術後の経過を心配する裕一ですが、これまで二度も重病の里香を病院から連れ出したことにより、里香の母親からの強い拒絶で病室どころか病棟に近づくことさえ禁じられてしまいます。
まぁ、家族の気持ちからすれば、当たり前ですね。
一途で純粋な想いは美しいですが、自分たちの気持ち中心に感情の赴くままに行動していては、理性ある人間とは言えませんし。
若いうちは仕方ないにしても、そのような痛みや経験を通して、自分たちだけでなく周囲の人たちの想いも大事にできるように成長するものです。

06miyuki しかし、そのような裕一の無力な状況も知らずに、勉強を教えにきた”みゆき”ちゃんから、里香の術後の経過も知らないとは薄情者と罵られるのは、世間からは子供としてしか見られていない裕一が少し可哀そうかも。

06sayoko そして、友達の話として亜希子さんに語られる夏目の昔話。
自分の残り全ての人生と彼女との残された時間との選択。
一応は人間の情を持ち合わせていたらしく、出世の道を捨てて彼女との時間を選択したものの、彼女の命の灯も消えて、全てを失くして、一人残された自分の人生に無常を感じていること。
同じような状況の裕一と里香に自分達と同じ辛さを味あわさせていいものかの迷い。

06natume 「どんな犠牲を払っても、いつかは全てを失っちまう。」

しかし、亜希子さんには「それが何だよ」と否定されてしまいます。


06akiko
「女ってのは、たとえ短くても・・・短い時間だからこそ、思いっきり幸せに笑える瞬間があれば、それだけでも納得できる。」

と、少し悲しい笑みを浮かべながら、自分のことのように答える亜希子さんにも、病気か事故で恋人を失った過去がありそうですね。
それが、元ヤンキーでも看護士を志した理由ですか。

でも、亜希子さんの語る想いは、なにも女性に限ったことではなく、男でも本当に相手のことを想っていれば、同じように感じるものだと想うのです。
ただ、男は社会的に刷り込まれた責任上もあって、愛する人の全てを抱えてあげないとダメだと勝手に思ってしまうんですね。
相手のことを想う心さえきちんと伝えていれば、本当は亜希子さんの言うとおりかも知れませんのに・・・。

06akiko2 「自分で気づかないうちに全てを手に入れてるのにさ。」


06yu3 しかし、裕一が夏目の話を廊下の陰から聞いてしまい、チボー家の人々の物語に自分の想いをかけた里香に応えるために、給水塔からザイルでぶら下がって病院の外壁を走って、里香の病室の窓の外に辿り着こうとするのは、ちょっと荒唐無稽かも。
ただのムボー者かクリフハンガーですかぃ?!(^^;

ここらへんの展開が、バカなマンガ的で、このアニメ作品のリアリティないところですね。残念。(原作どーりですか?:笑)
本当に真剣なら、そんな意表をついた技など使わずに、何度叩きのめされても正面からきちんと自分の想いを伝えて理解してもらうものでしょうに。

06rika
まぁ、後に続く、里香の笑顔と里香に語る裕一の想いで許してあげましょうか。

06rika4 「ずっと側にいていいか」と問う裕一に
「そんなに長くないよ・・・でも、短くもないよ。」
「何もかもあきらめなくちゃいけなくなるよ。」
と、裕一を気遣い答える里香。

そして、里香に優しく語りかける裕一。

06rika6 「わかってる・・・でも、俺が決めたことだから里香にも反対はさせない。」

「ずっと一緒にいよう・・・」

EDの歌詞のように、永遠なんてないとわかっているけれど・・・いつかは、この身は分かたれるのかもしれないけれど、それでも、魂は、想いは共に在ることはできるし、それだけでも生きてゆける。

夏目は「最悪」の結末と言いました。
だから、そのような状況に耐え切れずに側から去る人がいても、誰もそれを非難はできないでしょう。綺麗事だけでは生きてゆけませんし・・・。
逆に、死に逝く者が相手のことを縛りたくないということもあるでしょう。

でも、前回も書きましたが、

人間はいつか死ぬものです。
また、いつ死ぬかなんて自分には判らないものです。

だからこそ、限られた時間であっても、微かな光の中であっても、僅かな希望であっても、想う人と今ある時間を大事に生きることは何よりも大切だと思うのです。

静かに優しく語られる物語も終わりを迎えました。
この物語を見て、良いなと思った人には、ぜひ
太刀掛秀子『雨の降る日はそばにいて』を読んでみてもらいたいです。
できれば、後日談の『6月のシロフォン』と、りぼん掲載最後の作品となった『星聖夜』も。
70年代後半~80年代前半の「りぼん」の作家なので、もう20年以上前の作品ですが、死に逝く人の、送る者の、残される者の想いが感じられる作品群です。

一つ前の連載『ミルキーウェイ』までは、まだ少し、ちまちまっとした可愛い絵柄にコマ割だったのが、『雨の降る日はそばにいて』で、その後に続く洗練された画風、情感的なコマ割、美しいカラー画が確立されたと想います。
まぁ、その次の連載『花ぶらんこゆれて・・・』は、ちと展開が昼ドラみたいで重苦しくバタ臭かったので、個人的には『まりの きみの声が』『ポポ先生がんばる!!』の方が当時の年齢的に身近に感じられたものですが。(笑)

それよりも身に沁みたのは『ひとつの花もきみに』ですかね。
自分のことで、いっぱいいっぱいで他に優しくできないときでもありましたし・・・。(^^;

りぼんマスコットCOMICS版は全て絶版ですから、今は集英社文庫版で手に入ります。
『雨の降る日はそばにいて』 ⇒ 「ミルキーウェイ」収録
『6月のシロフォン』『星聖夜』 ⇒ 「秋への小径」収録

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» 『半分の月がのぼる空』6話「僕たちの両手は」 [せーこののんべんだらり]
早いもので、今回で最終回。まあ、1クールを半分こしたのですから当たり前と言えば当 [続きを読む]

受信: 2006年2月28日 (火) 23時44分

» レビュー・評価:半分の月がのぼる空/6話(最終話)「僕たちの両手は」 [ANIMA-LIGHT:アニメ・マンガ・ライトノベルのレビュー検索エンジン]
品質評価 48 / 萌え評価 20 / 燃え評価 5 / ギャグ評価 12 / シリアス評価 10 / お色気評価 17 / 総合評価 20レビュー数 39 件 「多分、お前にとっちゃ最悪の結末だ。」里香の手術を終えた夏目が放った言葉。その意味に戸惑う裕一。更に、里香に会うことを禁じられ、裕一は途方にくれる。そんな夜、夏目は亜希子にある昔話を語り始める・・・。... [続きを読む]

受信: 2007年9月20日 (木) 18時03分

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